不時着
- 雨
- 2020年9月29日
- 読了時間: 2分
更新日:2020年10月18日

ようやく過ごしやすい季節がやって来て、夜は窓を開けていると肌寒い風が入ってくるようになった。レンタルショップで運よく『殺人の追憶』を借りることができ、見ようと思っていた韓国映画は一先ず見終わった。来月になったら、新たな小説に取り組もうと思っているのだが、いつまで経っても書き始めることができないのではないかという気がしている。
今の私にはこれといって強烈に書きたいと思うようなテーマがなく、何だか気持ちがとてもふわふわとしている。その一つの要因として、恋愛小説を書くことに興味が持てなくなったということが考えられる。二次創作ではほぼ恋愛のみについて100以上もの話を書いてきたせいか、飽和状態と言うか、とにかく一次創作で恋愛小説を書くことに気分が乗らないのだ。
もちろん、一次創作でも恋愛小説ばかりを書いていたわけではない。家族との関係や友情、人が持つ普遍的な葛藤など、恋愛が絡まない話もそれなりに書いてきた。しかし、恋愛感情というものは大抵の人が持ち合わせているものであり、恋愛がテーマではない小説だとしても、物語を構成する一要素として取り入れることは多分にある。
恋愛に興味があった若い頃は、改めて考えなくてもそれなりの物語が頭に浮かんでいたのだが、年齢と経験を積み重ね、もう恋愛する必要性(この言葉が適切なのかは疑わしいが)がなくなった今は「愛だの恋だの言ってもねぇ……」と妙に冷めてしまい、衝動が湧かない。だったら恋愛以外の話を書けばよいだけの話……と簡単に割り切れないところがまた厄介である。
書きたい気持ちはあるのだけれど、一体、自分が何を書きたいのかわからない。恋愛小説がどうのこうのと書いてきたが、ネックになっているのはこれなのである。もしかしたら、私にはもう書きたいことなど何一つ残っていないのかもしれない。
これがただのスランプ、いつものように「書けない時期」に入っただけのことなら別に大した問題ではない。けれど、もし、そうではなかたっとしたら。空っぽになってしまった自分を思うと虚しく、少し恐ろしい。怯える理由などないはずなのに、何故か恐ろしいのだ。
本当は、こんなことが書きたいわけではなかった。始めから終わりが見えていない文章は、書き始めてみないとどこに着地するのかわからない。この記事を最後まで読めばタイトルの意味はわかる。でも、はっきりと記事の内容を説明するとしたら、「あるいは恋愛小説について」と付け加えるべきかもしれない。「不時着、あるいは恋愛小説について」。そう悪くないタイトルだな、と自分では思う。
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