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「お久しぶりです」

  • 執筆者の写真: 雨
  • 2019年3月16日
  • 読了時間: 3分

更新日:2020年10月18日



前回の記事で“書き手の私がシェフだとすれば、読者はレストランの客だ”と書いた。そして“もし、長い間音沙汰がなかった常連客が再び店を訪れたら、私は「お久しぶりです」と笑顔で彼らを迎えるつもりだ”という一文で締めくくった。先日、偶然にもその「常連客」が再び私の所に戻ってきた。


ここからは、いつものようにpixivの設定を借りて話を進めていく。


彼女とはマイピクの関係にあって、ジャンルに関係なく、彼女は私の書いた小説全てにブクマをしてくれていた。前ジャンルと現ジャンルの両方を読んでくれる人は少なかったので、彼女の名前はきちんと覚えていた。しかし、数ヶ月前から反応がなくなっていて、最近では彼女の存在をすっかり忘れてしまっていた。


マイピクから外れていることにも気づかないまま「古いアカウントを削除して新しく作り直しました」というメッセージが届いたことによって、私は彼女のことを思い出した。メッセージの主旨は「再びマイピク申請をお願いしたい」というもので、以前のアカウントを削除したことについて具体的な理由は何も書かれていなかった。


彼女に直接確かめるほどではないが「何かあったのかな?」と気になったので、マイピクを承認する前に彼女の新しいアカウントに飛んでプロフィール欄を確認することにした。すると、ROM専だった彼女がいつの間にか書き手になっていて、最近までTwitterをメインに活動していたらしく、そちらのアカウントもすでに削除されているようだった。


プロフィールには「今後はマイピクの機能を使いpixivのみで活動します」と書かれていた。これはただの邪推だが、たぶんTwitterで嫌なことでもあったのだろう。pixivとTwitter、両方のアカウント削除したのは、一度全ての人間関係をリセットしたかったからではないだろうか。私はそんなことを思い、少々複雑な気分で彼女のアカウントページをそっと閉じた。


マイピク承認のメッセージに「新しいアカウントを作ったんですね。了解です。またよろしくお願いします!」とだけ書いて、再び彼女とマイピクになった。因みにジャンルは同じだが、彼女は私の推しCPとは全く別のCPの話を書いている。


私はTwitterもやっていないし、同ジャンルの他の書き手の作品は読まないので、その界隈でどういうことが起こっているのかほとんど把握していない。pixivも個人サイトのような使い方をしていて、本当に自分の好き勝手にやっている。そして「Twitterってやっぱり厄介なんだな……」と思いながら、この記事を書いている。


私がマイピク承認のメッセージを送ると「またあなたの小説が読めて嬉しいです」と返信が来た。この数ヶ月、彼女の身に何が起こったのか私は知らない。彼女が何かやらかしてしまったのか、それとも被害者になってしまったのか、今後も知ることはないだろう。彼女と私はただの「小説を読む人と読まれる人」という関係で、それ以上に親しくなることもない。


メッセージをもらった時は少し戸惑ったし、再びマイピクになることを躊躇う気持ちが全くなかったわけではない。想像とは違い、すぐに笑顔で「お久しぶりです」と(心の中で)言うこともできなかった。しかし、これから書き手となった彼女が楽しく創作活動ができればいいなと嘘偽りなく思っている。

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