「性癖です」と言われても
- 雨
- 2019年3月3日
- 読了時間: 3分
更新日:2020年10月18日

久しぶりに書く記事のタイトルにこれはどうなんだ?という気がしないでもないですが、頭に浮かんでしまったので書きたいと思います。二次創作において(もしかしたらそれ以外の普通の会話でも)「性癖」という言葉の意味を誤解している人は多い。辞書を引いてみると
性癖:人の性質にみられるかたより。性質上のくせ。
と書かれている。本来、性癖とは「性的嗜好」とイコールではない。しかし、今では性的嗜好と同じ意味として当たり前のように使われている。人が「性」という言葉から連想するのは「性格」とか「性質」ではなく、明らかにアダルトなイメージであるらしい。よって誤用だと理解した上で、この記事の中では性癖を性的嗜好と同義語として扱っていく。
二次創作でBL小説を読むようになってから、私はつくづく自分の性癖がノーマル過ぎるくらいノーマルなのだと思い知るようになった。性描写が苦手だと過去の記事にも書いたが、BL小説では避けて通れないものであるため、他の方がどんなふうに書いているのか勉強しようと思い、手当たり次第にR-18作品を読んでみたことがった。
とりあえずpixivでブクマの多い小説から読んでいったのだが、何かもう、色々大変なことになっていた。描写が過激というだけでなく「普通そんなことする?」というような、特殊プレイを書いたものが多いことに驚いた。いわゆる「エロに振り切った」小説である。話の流れから自然と性描写に入るというパターンの小説はあまりなかったように思う。
たまたま私がチョイスしたものがそうだっただけという可能性もあるが「攻めが受けをめちゃくちゃにする」という点はどの小説にも共通していたことだった。感じにくい体よりは敏感な方が都合がいいとは言え、いささか大袈裟すぎる感じが否めなかった。まぁ、「BLはファンタジー」という合言葉があるぐらいなので、それはそれでいいのかもしれないが。
結果的に、高ブクマなR-18小説の文章は私の文体とかけ離れたものだったためあまり参考にならなかったのだが、需要がある話の傾向を理解することはできた。プレイの内容は異なっていたとしても、そういう小説から受ける印象はどれも同じで、首を挿げ替えればどのCPの話か見分けがつかなくなってしまうようなものだった。
私は決してエロに振り切った小説をディスりたいわけではない。好みではなくてもそれは確かに私には書けない小説であり、ある意味尊敬している。時々「お、おうふ……」と辟易することもあるが、読者にしてみればきちんと「エロい」小説であることに間違いはない。書き手が自分の性癖を全面に出しているのであれば、内容はどうであれ清々しい気さえする。
そう書いてはみたものの、やはり彼女達の「性癖」は私の理解を超えているものが多い。脳内の想像と実体験は別であると理解していても、自分が同じ目にあうのは絶対無理という感覚を払拭することができない。「他人の行為を見て興奮する」という視点で割り切ればいいのだろうか。いや、こういうのは頭を空っぽにして何も考えずに読むのが賢明なのだろう。
小説の作者に興味を持つことはほとんどないのだが、過激な性描写を書く彼女達がドSなのかドMなのかは気になるところである。何と言うか、受けと攻めのセリフが独創的過ぎて思わず笑ってしまったこともあった。いくら想像の産物とはいえ、キャプションに「こういう性癖です」と堂々と書いてあったりすると、色んな意味ですごいなぁと思ってしまう。
私は男性に「お前」と呼ばれることにもイラっとしてしまうくらい心が狭いし、相手を言葉で追い詰めることにもさほど興味はない。SでもMでもない自分は、彼女達と根本から何かが違うのかもしれない。人に語るような性癖を持たない私は無理をせず「何となくエロい」ぐらいを目指してR-18小説を書いていこうと思っている。
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