主人公は全て自分?
- 雨
- 2019年2月22日
- 読了時間: 3分
更新日:2020年10月18日

前回、人称の話の中で以下のようなことを書いた。
“一人称を使うということは、ある意味、主人公を自分で演じるような側面がある。登場人物が自分と違う性別や年齢だとしても関係ない。少し大袈裟な言い方をすれば「憑依する」ような感じだろうか。あるいは、限りなく自分に近い別の人間を作り出すというか……”
先に断っておくが、これはあくまで一次創作の話だ。私は二次創作で主人公と自分を重ね合わせるようなことはしない。よく腐女子は登場人物に自己投影していると言われたりするが(中にはそういう人もいるのかもしれないが)彼らと自分を完全に切り離している。なぜなら、私が好きなのは自分自身ではなく推しCPだからだ。
ということで、今回は一次創作限定で話を進めていきます。私が書く一次の小説は「私小説」や「心境小説」に近いもので、一応、純文学に分類されるものだと思っている。自分の見た光景や感じたことをベースにしていて、分量は話によって異なるが、私の主観がかなり入った文章になっている。
主人公の性別や年齢が自分と異なっていても、彼、もしくは彼女達は自分の分身だと言えるかもしれない。また、もし自分が彼・彼女のような人だったら、という視点で物語を作ることもある。イメージとしては「自分→主人公」ではなく「自分←主人公」といった感じだろうか。物語の発端が自分ではなく彼らの方で……うーん、上手い説明が思いつかない。
自分を誰かに置き換えたり、誰かを自分に置き換えたりすることは多いけれど、全ての一次創作がそうであるというわけではない。自分自身を全く反映していない主人公の話を書いたこともある。それはそれで面白いし、狭い自分の世界を少しだけ外に広げられたような気分にもなる。自信を持って、完全に登場人物を客観視できているとは言えないけれど。
今まで書いてきたようなことが関係しているせいか、私が書く主人公には強烈な個性というものがない。漫画のようなヒーローは一度も書いたことがないし、大体がどこにでもいるような普通の人を主人公にしている。漫画はまず魅力的なキャラクターが必要だという話を聞いたことがあるが、私はキャラクターありきの小説というものを書いたことがない。
人物よりも先にストーリーがあって、キャラ作りというものにはあまり興味がない。登場人物の名前もろくに考えず、主人公は「私」か「僕」、その他の人物も「彼」や「彼女」、人物同士の関係性(兄弟、先輩・後輩等)で済ませてしまうことが多い。私が書くものは「登場人物が限られた短編小説」なので、それでも特に苦も無く成立している。
厳密に言うと、そういった「名無しの誰か」は私そのものではなく、私の要素をいくらか持った別人ということになる。小説は自伝やエッセイではないのでその方が好ましい。自分なりに色々と整理して書いてみたが、何だかぼんやりした文章になってしまった。
たまには強烈な個性を持ったキャラクターの話を書いてみようかな。でも、それって別に自分が書きたいことではないんだよな。ファンタジーもSFも書けない。自分の生活と大きくかけ離れたものにいまいち興味が持てないのだ。あ、読むのは別ですけどね。ハリー・ポッター大好きだし。という感じで強引に終わる。
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