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同担拒否……なのか?

  • 執筆者の写真: 雨
  • 2019年9月18日
  • 読了時間: 4分

更新日:2020年10月18日



最近、新作の小説(二次創作)を更新した際、読者の方から感想のメッセージをいただいた。多少フェイクを交えて説明するが、そのメッセージには好きなシリーズの続きが更新されて嬉しい、話の展開も最高だったというようなことが書かれており、それは素直に喜べるものだった。しかし、そんなありがたいメッセージをいただいたというのに、私は何故か、その方の書いたある一文に引っ掛かってしまった。


“Cに対するAの心理描写が私の解釈と一致し過ぎてて……大好きです!”


うん、なるほど。「それは……えーっと、小説における登場人物の行動心理が思ってた通りってことかな?」と私は少し困惑した。これまで何度か説明してきたが、私が取り扱っている「RPS」とは実在の人物を題材にした二次創作物のことである。実在の彼ら(または彼女ら)を想定してストーリーを作っているわけだが、そのほとんどは現実とは全く関係のない、書き手が勝手に作り上げた妄想の産物である。


実際にあったエピソードやインタビュー等の発言を小説に落とし込むことはあるが、特に私が書いているBLともなると、まず物語の前提から現実とは大きくかけ離れている。あくまで「もしこの二人に恋愛感情があったら」という前提条件があって、初めて登場人物の行動原理が決まってくる。その条件下で実際の彼らが言いそうなことや取りそうな行動を想像し、自分が設定したアウトラインに沿ってストーリーを書き進めていくという形になる。


私がいただいた感想の一文に引っ掛かったのは、小説の中の登場人物(現実の彼らと同じ姿形をした「CA」というCP)に対する彼女の妄想と、私の書いたAの心理描写が一致していたというふうに捉えていいのか、そこらへんのことが曖昧だったからだ。もし、彼女の言う「解釈」が現実の彼ら(例えば二人が仲良くしている場面)を見て感じた「CP感」から来たものだったとしたら、それはちょっとどうなんだろう……と思ってしまった。


分かりやすく説明できなくて申し訳ないが、彼女の言葉が私の作り上げたストーリーに対しての共感なのか、現実のCとAから感じ取った関係性(AはCのことをこう想っているはずという妄想のようなもの)への共感なのか、とても曖昧なのである。前者なら「更新された小説が予想していた通りの展開になった」というだけのことだが、後者の場合だとまた話が違ってくる。


そもそも二次創作における「解釈」というものが、私にはよくわからない。簡単に言えば「Cがこういう行動を取ったから、きっとAのことが好きに違いない!」という感じのことなのだろうが、私が小説として形にしている「妄想」は、それとは少し違っている。前述した通り、まず「恋愛感情があったら」という創作上の前提があり、現実の彼らのエピソードや関係性から物語に使えそうな要素を選び出しているのである。


改めて明言するまでもなく、私が書く物語は「if」である。小説にリアリティを持たせたいとは思っているし、こういう場合彼らならどうするだろうとなるべくリアルに表現しようともするが、全ては架空・想像上のことである。


別に、感想をくれた彼女が現実と創作を混同しているとは思っていない。ただ、私の場合は「小説」というものがまず始めにあって、RPSでよく使われる言葉通り「実在の人物のキャラクターを借りて創作している」という意識が強い。現実の彼らの行動に萌えを感じることがあったとしても、その現実と創作の世界はきっぱりと区別されている。


「火のない所に煙を立たせるのが腐女子だ」などと言われているが、本気で彼らの間に恋愛感情があると思っているのかと聞かれれば、それはまた別の話だ。まぁ、結局何が言いたかったのかというと、私が「解釈の一致」という言葉に違和感を覚えたというだけのことである。読者の共感を得られるなんて素晴らしいことなのに、そんなふうに思ってしまった。


全く、一体いつからこんなひねくれ者になってしまったのだろう。キャラクターの捉え方が同じだったというだけの話なのに。もしかして私は同族嫌悪というやつなのだろうか? でも、彼女は同じ書き手ではないし……。同じ人物を推しているのだから、同担拒否という言葉の方が適切か? 何かもう、よくわからん。


長々と自分でも意味のわからないことを書いてしまったが、感想をいただけたことはとても嬉しかった。それはもう、一点の曇りもなく。彼女には礼儀正しく、きちんと感謝を伝える返信をさせていただいた。作者が面倒くさい奴だとしても、小説にはこれからも末永く(可能な限り)お付き合いいただきたいものである。

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