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然るべき結末

  • 執筆者の写真: 雨
  • 2019年4月24日
  • 読了時間: 3分

更新日:2020年10月18日



以前「コメントにまつわるあれやこれ・二次創作編」という記事の中で、以下のようなことを書いた。


“基本的に、私はどんなコメントをもらっても嬉しい。しかし、続きが読みたいと言われると場合によっては複雑な気分になる。続くことがわかっているシリーズなら全然問題ないが、単体の小説として書いたものにそう言われると「ここで終わった方がいいと思うけどなぁ」と微妙な気持ちになってしまうのだ。「読みたい」という気持ち自体は嬉しいんですけどね”


ここ最近、シリーズではない単体の小説をいくつかサイトに投稿したのだが、いただいたコメントがまさにこれだった。4作投稿したうち2作に「続きが気になります」または「続きが読みたいです!」とコメントがついていた。1/2の確率である。先述した通り、コメントをいただいたこと自体は嬉しかったが、やはり複雑な気分になってしまった。


私が二次創作で書いている小説は、ほとんどが日常を切り取った一話完結タイプの話だ。一年ほど続けていたシリーズも、最初の方こそ「恋愛感情の自覚から二人が付き合うまで」という過程で続き物になっていたが、付き合ってからの話はどこから読んでも大体内容が把握できるようなものになっていた。


個人的に、BLの萌えを表現するには「日常切り取り型(場面切り取り型)」の小説が一番適しているのではないかと思っている。もっと砕けた言い方をすれば「とりあえず仲の良い二人が見たい」という欲求を手っ取り早く形にできるのがこの型式である。


書きたいことだけを書いて、もう少し話を広げられそうだなと感じた場合は単体の小説でも続き、または「おまけ」と称して続編を書くこともある。しかし基本的には一話完結で、もし話が続いたとしても、どこで終わってもいいような書き方をしている。


小説において、私には明確に「ここで終わるべき」というポイントがある。短編小説を好んで書いているのも、書きたいことが壮大なストーリーではなく、限られた時間の中に存在する些細な出来事だからだ。だから、私の物語はいつも途中で終わる。その先に何かが続く予感を残して、明確な答えを好まない。


読者側の「続きが読みたい」という気持ちが全く理解できないわけではない。彼女達の多くは片思いを書けば両思いになる未来を望み、想いが通じ合った後は性的な愛情表現を求めてくる。大抵の場合はそこで物語が終わり、時には後日談が語られることもある。BL小説の王道とも言えるそんなストーリーの流れを書き切れば、読者は納得するのかもしれない。白か黒か、はっきりと用意された恋の結末。


「めでたし、めでたし」で終わる物語は安心感があっていいのかもしれないけれど、私はその途中に起こる何かがが好きなのだ。恋人になることがゴールだとして、そんな結末が想像の中で決まっていたとしても、常にその過程の全てを書きたくなるわけではない。


感情が揺れ動いた一場面を切り取り、それに相応しいラストの一文を見つける。その先に何が続くのかは読んだ人がそれぞれで想像して欲しい。私の頭の中にあるストーリーを知りたいと思ってくれるのは嬉しいが、それを形にしない方がいい場合もある。腐女子の友達は別にいなくても構わないが、物語のあるべき終わり方を理解してくれる誰かがいてくれれば……と思う今日この頃である。

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