現実を生きていけ
- 雨
- 2020年6月11日
- 読了時間: 2分
更新日:2020年10月18日

これは一次創作に限ったことではないのだが、私は極めて現実的な設定でしか小説を書かない。大学生だったら本当にどこにでもいそうな大学生を書くし、画家のような特殊な職業の人物を書くとしても、例えば「周りが変人だらけ」という類の設定にはしない。突然、主人公が特殊能力を手に入れたりもしないし、脈絡もなく、その彼がとんでもない美人に言い寄られて同居したりもしない。
小説なのだから、もっと自由に「そんなのあるわけねーじゃん」的なことを書けばいいのに、何故かできないのである。これは二次創作に多いのだが、現実に「少し不思議」要素を足すのが苦手なのだ。BLでよくある、猫耳が生えたりだとか、女体化するとか、心の中が読めるようになる(これは一次でもよくありますね)設定に興味が湧かない。
ファンタジーのように最初から現実とは異なる世界観を用意する方が、まだ物語として成立させられそうな気がする(実際は想像力が貧弱なので無理だろうけど)。そういうものを全く受け付けないのではなくて、村上春樹の『TVピープル』とかは好きだし、読む分にはそれなりに楽しむことができる。
ある日、目が覚めたら運命の赤い糸が見えるようになっていたとか(この設定は安直かな……)、ちょっと現実的ではない要素を加えることで、物語は作りやすくなるのだと思う。バリエーションが広がるというか、違う角度から物事を捉えられるようになる。そういった要素を加えることで色々メリットはあるのだろうけど、やっぱり自分で書こうとは思えない。
何と言うか、「リアリティを追求している」というのとも少し違う。今まで二回だけ、私も少し不思議設定で小説を書いたことがある。極めて有り触れた生活の中に現実では有り得ない現象を起こしたのだが、それでも、その現象によって何かが大きく変化するという展開にはしなかった。
たぶん、特殊な何かによってではなく、主人公には自力で運命を切り開いて欲しいという想いが私の中にあるのだと思う。これはあくまで一例だが「転生してニューライフ!」ではなく、「現世で目の前の問題を処理しろ」と思ってしまうのだ。だから私の小説は地味なんだろうなぁ……。得てして「自分の小説に対しては頭が固い」というのが、この記事の結論である。
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