top of page

男のことはわからない

  • 執筆者の写真: 雨
  • 2019年2月4日
  • 読了時間: 3分

更新日:2020年10月18日



前回に引き続き性描写の話を少し。今まで明記していなかったが、私はストレートの女性である。だから、異性としての目線からしか男性を見られないし、男性の心理を自分の経験から書くことはできない。男性を描写しようと思ったら、自分の身近な人物を参考にするか、ネットから経験談を拾うか、自分で想像するしかない。


BLとなれば、私と性別も性的指向も異なる人物を描写しなければならない。冷静に考えれば無理ゲーな気がする。しかし、人を殺めた経験がなくても推理小説は書けるわけで、BL作品の大半は女性が作者だ。そして、二次創作ともなればそこに「リアリティ」があるかどうかは、割と気にしていない人が多いように思う。


「BLはファンタジー」という言葉があるように、現実ならあり得ないこともBLの世界では普通にある。特に性的な場面はそれが顕著だ。男性は女性のように感じれば自然と濡れるわけではない。現実であれば「何の準備もなしに事に及ぼうとするなんて鬼畜過ぎやしないか?」と思ってしまう。男性同士で最後までするのはそう簡単ではないらしいし。


二次創作の中では、受けの事前準備(具体的には書かないが、中を綺麗にする作業)は省かれることが多い。いい雰囲気になってこれからという時、受けの事前準備を書いていては、その流れのままスムーズにベッドシーンに持っていくことが難しいからだろう。感情のままにお互いを求め合うというのが萌えるのだから。


それでも、せめてローションで慣らすぐらいはして欲しい(そんなに都合よくローションを持っているのかと言われたらそれまでだが)他にもハンドクリームやオイル、唾液や精液を代わりにするといったパターンもある。それが現実的かどうかは別として、とにかく攻めには受けの体を大切に扱っていただきたい。


私は女性なので、男性の体がどう感じるのかを身を持って体験することはできない。自分の経験をベースに性描写を書きたいわけではなくて、体の造りが同じならば想像するのは難しくないということだ。性的嗜好(前述の「指向」とは別の意味)なんて人それぞれだし好きに書けばいいのだが、男性がどう感じるのかきちんと理解できたらなぁと思う。


書きたいのは「男と男」であって、その背後に男女のセッ〇スが透けて見えると、書いている本人としては「何か違う」と思ってしまう。私は受けを女性っぽくしたいわけではないのだ。行為中に可愛くなる受けは好きだが、あくまで男性として可愛くあって欲しい。……自分が何を言っているのかよくわからなくなってきた。


ここまで書いてみて、二次創作のBLとはつくづく「妄想の産物」なのだと思う。リアルを追及するのも思いっきりファンタジーに振り切るのも書き手の自由だ。私は自分なりにリアルとファンタジーの妥協点を探りながら、何だかんだで、自分が立ち入ることのできない世界を書いて楽しんでいる。

Comments


Join my mailing list

© 2023 by The Book Lover. Proudly created with Wix.com

bottom of page