禁断の果実を齧れ
- 雨
- 2020年12月12日
- 読了時間: 2分
更新日:2020年12月15日

先日、約半年振りに二次創作の小説を書いてサイト(ここでは仮にpixivとする)に投稿した。書き上げた小説には満足していたものの、新作に半年前のような反応をもらえるか不安だった。昔の読者がまだpixivにいるのかどうかわからなかったし、残っていたとしても私の新作を見つけてくれるかはわからない。「もう二次創作はしない」的なことをわざわざ報告して去っていった自分をマイピクやフォロワーの方達がどう思っているか、私には予想がつかなかった。
結果的に、復帰作には三桁のブクマがついた。自作の平均より少し多いくらいの評価に、私はほっと胸を撫で下ろした。誰がブクマをしてくれたのか確認したところ、新規の方も多いようだったが、昔からずっと私の小説を読んでくれていた方達の名前があってとても嬉しかった。ありがたいことにコメントやメッセージもいただいて、新しい読者からのマイピク申請も毎日のように届き、小説を読んでくれる人がいることの喜びを改めて味わった。
“新作が上がっていたのを見つけて息が止まりそうでした・・・”
“戻って来てくれて嬉しいです!”
“おかえりなさい。ずっとお待ちしてました”
そんな言葉が、自分でも驚くほど胸に響いた。「たかが二次創作」と誰かは言うかもしれない。けれど、その限られた世界の中であっても、自分が受け入れられたことが嬉しい。移り変わりが早いネットの世界で、私のことなど、もうとっくに忘れられていると思っていたから。終わりにしたつもりだったのに、また二次創作で小説を書きたくなって、暖かく迎え入れられたことが本当にありがたかった。
という具合に、ここまで感情だけで書いてみたわけだが、イタイ文章になっていないだろうか。要するに、言いたいのは「二次創作の復帰に成功した」ということである。相対評価ではなく絶対評価において、私は「してやったり」とほくそ笑んでいるわけだ。急に性格が悪い感じになってしまったが、とりあえず「誰にも読まれなかったら笑えるな~」と自嘲的なことを思っていた過去の自分に「お前はよくやったよ……」と労いの言葉を掛けてやりたい。
それにしても、他の書き手に比べて自分の承認欲求はそれほどでもないと思っていたのに、伸びていく数字をにやにやしながら眺めている自分に若干の危機感を覚える。二次創作の世界に足を踏み入れてしまった時から薄々感づいてはいたけれど、やっぱりドラッグと似た作用があるのかもしれない。いや、もう少し文学的に禁断の果実と言うべきか。とにかく、その実を思いっきり齧ってしまった私は、そこから抜け出すことなど不可能なのかもしれない。
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