自由でいたいなら孤独を愛せ
- 雨
- 2020年8月16日
- 読了時間: 6分
更新日:2021年3月10日

今回は一つ前の記事「ほぼ理想的な壁打ち」の中からいくつかのポイントをピックアップし、「個人的におすすめしたい創作活動のスタイル」という形で記事にしていこうと思います。たった三年しか二次創作で活動していなかった私がこんなことを提案するのもどうなんだという気もしますが、少なくとも私自身はそこそこ快適に創作活動ができたので、一つの選択肢として参考にしていただければ嬉しいです。
では、ここからは敬語抜きの文章で。まず始めに、創作活動をするにあたって、自分が一番大切にしたいものは何かを明確にしておくことが必要である。「作品を作ることが最も重要」なのか「同じ趣味を持つ人と交流したい」のかで創作活動のスタイルは全く変わってくる。かつての私の活動スタイルは「壁打ち」であり、以下のような人に向いていると思われる。
・好きな小説が書きたいから二次創作をやっている
・無理はせず、自分のペースで創作活動を続けていきたい
・積極的に同ジャンル・同CP者と交流したいわけではない
・創作は自己顕示欲や承認欲求を満たすためのものではないと思っている
基本的に「作品を通してみんなからチヤホヤされたい」という方とはベクトルが異なっている。Twitterなどで交流した方が作品を見てもらえる機会は増えると思うが、私は人間関係のストレスを抱えてまで閲覧数を増やしたいわけではなかった。加えてオンのみでの活動だったこともあり、壁打ちを選んだ。
以上のことを踏まえ、どうすれば積極的に交流をしなくても作品を見てもらえて、ある程度の評価をもらえるようになるのかを私の経験から説明していく。
・Twitterはやらない方がベター
絶対にやるなとは言わないが、精神衛生上はやらない方が遥かにいい。特に他人の評価を気にしてしまう人や地雷が多い人、余計な情報を見たくないという人にとってTwitterは地獄のような場所だ。Twitterが盛んなジャンルで自作を宣伝するためにアカウントを作りたいという場合は、作品だけを投稿して余計なことをつぶやかないということを徹底した方がいい。受信ではなく発信することを優先させれば、必要以上に交流をしなくて済む。
・コンスタントな作品の投稿を心がける
小説に限って言えば、月に二回(可能であれば週に一回)のペースで作品を投稿するのが理想的だ。Twitterやpixivを毎日チェックする人、気が向いた時にだけログインする人と様々だが、自ジャンルの二次創作を求めている人の目にできるだけ多く触れることは大切である。ただ、短いスパンでの連投は(特に同じ書き手からは)煙たがられることもあるので、適度な投稿ペースというものを把握する必要がある。
他の書き手がほぼいない斜陽ジャンルであれば、投稿のスパンを開けたとしてもpixivなどで連投になってしまうことがある(実際、私も過去にそういう経験がある)。その場合は仕方がないので、周りを気にせず書き上げたものをその都度投稿すればいいと思う。他にもそれなりに書き手がいる場合は、自分で決めたペース(毎週水曜日とか、隔週の金曜日とか)を守って投稿を続ければ、自然と周りに存在が知られていくだろう。
・作品の質を落としてまで投稿する必要はない
作品の投稿に関してもう少し付け加えると、投稿ペースを気にするあまり、やっつけで書いたような小説を上げるのは悪手である。それなら多少投稿が遅れても、納得できる作品をきちんと書き上げた方がいい。一作ではインパクトに欠けるような短文であれば、何本かまとめてpixivなどに投稿した方が評価もされやすいような気がする。
また、シリーズものを書く場合、必ず最後まで書き上げる自信がないならやるべきではない。物語のラストが見えていて、そこへ行くまでの道筋もある程度決まっているならチャレンジしてみてもよいが、途中で放り出してしまうと読み手からの信用を失うことになる。
連載を始めると、第一話だけ反応が良く、あとは下火になっていくという現象が多く見られる。よって、他人の評価によって執筆のモチベーションが左右されるタイプの人は連載に向いていない。それでも書いてみたいというのであれば、単発の小説を書く傍ら細々とシリーズものを執筆し、完成した後でそれを連載形式で投稿するしかない。この方法であれば、コンスタントな投稿を継続しつつ、長編を執筆してシリーズ化することが可能である。
・物理的、時間的に余裕があるならコメントには返信する
小説に対するコメントやメッセージが山ほど来て個別にお礼をするのが不可能だという場合を除き、読者から感想をもらった場合はできる限り返信した方がよい。愛想を振り撒けという意味ではなく、メッセージをきちんと受け取り、それを嬉しく思っていると意思表示をするのは大切なことだ。きちんと対応したことによって、また感想を送ってみようかなと相手に思ってもらえれば両者にとって損はない。
個別の返信が難しい、苦手だという場合は、プロフィールなどにその旨を書いておけばよい。「コメントは大切に読ませていただいています。ありがとうございます!」というように、小説への感想が励みになっているという一文を添えておけば、読者も安心して感想を送ることができる。小説のキャプションに「コメントありがとうございました。とても嬉しかったです」と書いてもいいだろう。
匿名の感想ツールについては、ある意味、博打な部分もあるのであまりおすすめしない。匿名というのは気軽だけれど、それ故に悪意に満ちたメッセージが送られてくる可能性もある。特に特殊嗜好やヘイト作品を扱っている人はそういう傾向が強いと聞く。スルースキルが高ければいいが、そうでない人にとってはストレスが溜まるだけだ。また、匿名ツールでも感想をくれる人がいなかったら……と余計な傷を負いかねないので、いくら反応が欲しくても、ハートが弱い方は利用しない方が安全である。
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言わずもがな、他人に評価されたいと思うのなら、一番大切なのは「面白い小説を書くこと」である。ただ、評価が全てではないということを理解しているなら、「書くのが楽しいと思える小説を書くこと」がベストだ。これまで長々と書いてきたことは、あくまでそれに付随するいくつかの選択肢でしかない。創作のモチベーションを保ち、執筆に集中するための環境作りの一例である。また、ある程度の孤独を覚悟しておかないと壁打ちは長く続けられない。
周りから求められるものを書くスキルがあって、想定通りの評価をもらって、満足できるのならそれでいい。二次創作の「数取りゲーム」もまた一興。しかし「周りで人気」の小説と「自分が好きな」小説が別だという人もいるだろう。そういう人は、雑音など無視して己の道を進んで欲しいと思う。書くことを自由に楽しんだ結果として、あなたの小説が誰かの心に深く突き刺さる日が来ることを願っている。
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