避けては通れぬ性描写

BLの二次創作小説を書く上で性描写は避けて通れない。一次創作で一度も性描写を書いたことがなかった私にとって、これはなかなか厳しいハードルだった。一次でも恋愛小説を書いたことはあったが、キスシーンでさえ具体的な描写はしていなかった。体の関係がある二人を書く時はそういう展開になる直前で区切りを入れたり、事後、次の日の朝に主人公が目覚めて物語を始めるという手法をとっていた。

もちろん、プラトニックな関係でも萌えは感じるし、全年齢向けの話にも人気作品はたくさんある。しかし取り扱うCPが成人していて、精神的にも肉体的も問題がなければセッ〇スしない方が不自然だ。不自然という言葉はちょっと違うかな。まぁとにかく、恋人関係になれば大抵のカップルは性交渉をするものである。

私は「片方が恋愛感情を自覚してから二人が付き合うようになるまで」の過程を書くのが好きで、新しいCPを書く時は必ずそこから始める。この場合、一応、両思いになったところで話を終わらせることはできる。しかし、恋人になってからの二人を書きたいという欲求も同じようにあるわけで、書き続けていくうちにやはり性描写の壁にぶつかってしまう。

特に一話完結ものをシリーズ化した場合、所々にR-18作品を散りばめた方がバランスが良い。何より読者はそれを期待しているだろうし、それによって全年齢の話が引き立つということもある。「とりあえずエロが目当て」というような人は何だかなぁと思ってしまうが、それは個人の好みなので気にしないようにしている。

BL小説のR-18作品を読み始めた頃、この界隈には独特な表現方法があるということを知った。主に体のパーツを表す単語なのだが、直接的な表現を避けて書かれているものが多かったように思う。男性器を遠回しに表現したい気持ちはわかるが、乳首は他の表現に置き換えなければならないほどの単語だろうかと、よくわからない部分もあった。

最近は直接的な表現の性描写が増えてきたのか、伏字をすることもなくそのままの名称を使っている作品もよく見かける。あと「♡喘ぎ」なる特殊性癖（？）が流行りのようで、pixivの人気検索でもそういった作品が上位にきている。受けの語彙力が崩壊し、ハートマークが乱舞している文章を初めて見た時は、正直「えぇ……」とドン引きしてしまった。

個人的には苦手でも、過激なエロが好きな人は一定数いる。それはpixivのブクマ数を見ても明らかだ。他にも「女体化」だったり「オメガバース」だったりと、特殊性癖にはその時の流行があるらしい。それにしても、女体化はもうBLじゃない気がするんだがどうなのだろう。そこは腐女子の中でも意見が分かれるところみたいだが。

BLでの性描写をある程度考察し、私自身も今ではR-18作品を書いている。最初は気恥ずかしいのと文章表現が難しいのとで死にそうになった。しかし一度書いてしまえば抵抗感も薄らぎ、回数を重ねるうちに段々と慣れていった。よく「エロは勢いで書く」という意見を見かけるが、私はまだそういう感覚では書けていない。

感情の赴くままに書いた方が生き生きとした文章になりそうだが、私は寧ろ賢者タイムのような気持ちで書いている。体の動きを言葉で表現するのが難しいし、「この体位は男同士だと無理なんじゃないか？」と考えてしまってスラスラと前には進めない。セリフ（特に喘ぎ声）の重複も気になる。鏡で見たことはないが、性描写を書いている時の私はめちゃくちゃ真顔だと思う。

そして、私の文体にBLのR-18作品で求められているような表現が合わない。昔、一次創作の小説を読んでくださった方から「シンプルで無駄のない、でもしなやかな文章」とコメントをいただいたことがあった。主観として、シンプルな文体とエロティックな文章が結びつかないのだ。私は読者の気持ちをエロで盛り上げる自信がない。

そうは言っても、R-18作品を書くのを止めようとは思わない。特殊性癖は苦手だし、流行りに乗ることもできないが、推しCPに愛のあるセッ〇スをして欲しいという気持ちはある。……文章にすると「何言ってんだコイツ」感がすごい。性描写についてはもう少し書きたいことがあるのだが、長くなってしまったので続きはまた次回に。