top of page

需要と供給

  • 執筆者の写真: 雨
  • 2019年5月8日
  • 読了時間: 3分

更新日:2020年10月18日



そう遠くない昔、二次創作でリクエストを募集して何作か小説を書いたことがある。リクエスト小説は二次創作を始めてから一度はやってみたいと思っていたことだった。実行する前はリクエストが集まるか、人のアイディアをきちんと小説という形にできるかどうか不安だったが、結果的には楽しく書けたのでやって良かったと思っている。


リクエストを受け付ける層を限定し(pixivで言うところのマイピク限定)、いくつか条件も設けたので、突拍子もないリクエストが送られてくるようなことはなかったのだが、それでも「うん?」と思うようなリクエストを少数いただいた。客観的に見れば別にどうってことないリクエストなので、今から書くことは完全に私個人の意見だと前置きしておく。


私はRPSのをBL小説を書いていて、漫画やアニメのように「原作」は存在しない。仮にジャンルを「アイドルグループ」と設定して説明すると、彼らの容姿や性格、グループ内の関係性や芸能活動をベースにし、そこにBL的要素を加えて小説を書いている。この場合、原作に当たる設定は「アイドル」ということになる。


いただいたリクエストの中には「パラレル」を書いて欲しいという意見が結構あり、実際に私は「学パロ」と「リーマンパロ」のリクエスト小説を書いた。パラレルの王道とも言える設定である。学生や社会人といった身近な設定なら想像しやすいし、キャラクターの個性が大きく捻じ曲げられるということもないので、それなりの小説を書くことができた。


逆に「これはちょっと厳しいな……」というパラレルのリクエストもいくつかいただいた。具体的に書くと「マフィアパロ」や「ホストパロ」である。こちらもBLの王道ではあるが、そのリクエストを初めてもらった時、正直「いやいやいや」と思ってしまった。自分勝手な意見を言わせていただくと「それってこのCPでやる必要ある?」という感じである。


私は今までパラレルを片手で数えられるほどしか書いておらず、基本的には「原作沿い」の小説がメインである。先ほど挙げた、大体どのジャンルにでも存在するようなパラレルを自分から書こうと思ったことはないに等しい。そういった話は他に書いている人がたくさんいるだろうし、何と言うか「BL的定型文」な話を書くのが気恥ずかしいからだ。


リクエストには「雨さんの書いた〇〇パロが読みたい」と書いてくださっていたので、私の文章のテイストで好きな設定の話が読みたいのだなということは理解できた。そう思っていただけることは素直に嬉しいのだが、結果的にそのパラレルを形にすることはなかった。一応、頭の中で話を想像してはみたものの、やっぱり「いやいやいや」と思ってしまったのである。


私は「女体化」や「オメガバース」といった、現在人気であるらしい特殊嗜好も自分から書こうとは思わないし、あまり好きではない。要するに、腐女子としての嗜好の幅がとても狭いのである。そもそも腐女子歴もそれほど長くないし、BL(二次)小説を供給する側として中途半端な存在なのかもしれない。


腐女子の間で大きな需要がある設定や嗜好から、自分の好みが少しズレている。他の方の作品を読むことはできるし、「これはいい!」と感動したこともある。しかし、いざ自分が書こうとすると全然その気になれないのだ。私は自分で思っているよりもずっと「そのCPでないと意味がない」という観念にこだわっているのかもしれない。

Comments


Join my mailing list

© 2023 by The Book Lover. Proudly created with Wix.com

bottom of page